多焦点眼内レンズは白内障治療の一環として使用され、従来の単焦点レンズに代わるものです。遠近両用の視力を提供するレンズのため、生活するうえで眼鏡が不要となる可能性が高くなります。ただし、白内障手術自体は通常の保険適用となりますが、多焦点眼内レンズを選択することでかかる費用を自費で追加負担することで手術を受けられます(選定療養)。また、多焦点眼内レンズを使用した際の特有の症状として、暗いところで明るいライトなどを見た時に光の周りににじんだ輪が見える現象(ハロー)や、対向車のライトなどがギラギラと光って眩しくなる症状(グレア)の現象を強く自覚されることがあり、個々の患者の適応状況に応じて慎重に選定されます。

近年、アンチエイジング志向の高まりとともに、多焦点眼内レンズへの関心が増しています。このレンズを使用することで、遠方および近方も見えるようになり、眼鏡を使用する機会が大幅に減ります。例えば、新聞を読む際に老眼鏡が必要だった方が、眼鏡なしで済むようになります。
ただし、多焦点眼内レンズにもメリットのみならずデメリットがあるため、診察時に詳しく説明しています。患者様一人ひとりのライフスタイルに適したレンズをお選びいただけるようサポートします。

単焦点眼内レンズ(保険適応)
遠くはよく見えますが、近くを見る時は老眼鏡が必要です。

多焦点眼内レンズ(選定療養)
遠くから近くまでピントが合います。目に入る光を遠くや近くに分け、一つの光を複数に分散することで、さまざまな距離にピントが合うように設計されています。
多焦点レンズの種類により、遠方+近方、遠方+中間などの2焦点レンズ、遠方+中間+近方の3焦点レンズなど、ピントが合う距離が異なります。